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軍隊なき占領―戦後日本を操った謎の男 (講談社プラスアルファ文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 102338 位
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| 参考価格: | ¥ 903 (消費税込)
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「逆コース」とは何だったのか
GHQの政策転換、いわゆる「逆コース」の背後で動いたジャパン・ロビー(米国対日協議会)と、その中心人物であり、1978年のダグラス・グラマン事件でその正体を暴かれることになる元ニューズ・ウィーク記者ハリー・カーンについての研究。ジャパン・ロビーは、組織を変えつつもその活動は延々と続き、CIA、あるいはロックフェラーとの関係が深い外交問題評議会、日本国際交流センターなどとの深い人的つながりがあることが示唆される。岸信介、児玉誉士夫、ロストウなど、著名な政治家・学者とCIAの関係も、豊富な情報によって跡づけられている。
歴史は繰り返す
日本の戦後政治に関して、日本がいかにアメリカの属国になったかについての研究書である。アメリカ人の歴史学者の割には、きちんとした分析を行っている。出版社側であたかもトンデモ本のように扱ってしまっているのには、少々残念である。 露骨には示していないものの、ユダヤ系のアメリカ財閥に支配されているというのが本書の主張である。ロックフェラーとデュポンが財団を作り、その財団経由でスタンフォード大の研究者へ、そのOBを中心とする政治家による政策決定がなされている。さらに、財団は日本の奨学金や大学へ資金を提供することで、さらに米国の財団などと近づけるようにしている。 一方、日本の政治家はといえば、戦犯で有事判決になったものが東条英機以降起訴もされず、釈放されている。反共団体の基礎を作り、政財界に影響を与えたとしている。田中角栄は、石油をアメリカ経由でなく買おうとしたことによって抹殺されたとするのは、どおりがある。実際にアメリカ側の首謀者は、司法取引によって誰も有罪になっていない。 実に納得できる。では、日本が独立していくには何をすればよいか?ここまで入り込まれると、かなり難しそうだ。京都議定書のような形での対応と、沖縄米軍基地の部分撤退を問題化すべきであろう。 日本でのやり方は、イラクでの暫定政府のやり方と非常によく似ており、検証できるかもしれない。
「逆コース」を演出した米国保守派の活動がわかる
太平洋戦争直後の日本の占領政策は「ニューディール派」にしきられ、財閥系の持ち株会社は解体され、政治犯は釈放された。また、政党と労働組合は合法化され、報道規制は緩和され、戦犯容疑者に対する裁判の準備が始められた。これに驚き憤慨したのはアメリカの保守派である。彼らはアメリカの資本家たちの利益を基礎としていた。アメリカの資本家たちは、日本に巨大かつ価値ある利権を有しており、日本には報復的というよりむしろ融和的政策を取り、両国への投資と市場拡大を促進したいと考えていた。そこで保守派は、ハリー・F・カーンを中心とするアメリカ対日協議会(ACJ)により、天皇制維持・軍の再構築・財閥復興を図った。この方向は朝鮮戦争勃発により、米国が日本を反共の砦とする方針を固めたことで決定的となった。「逆コース」と呼ばれるこの政策変更を実現したACJにより、戦後の自民党親米政権は維持された。 以上の推移を本書は豊富な文献によりながら解説している。著者は、米国に従う自民党の政治家には極めて批判的である。例えば「最終的に、岸信介がいかなる人物であったか、彼がなぜ、平然と、容赦なく日本におけるアメリカの利益を推進するために日本を裏切ったかは、いまだ不明である。」(207頁)といった調子である。しかし、著者の意図とは反するかもしれないが、ソ連の東欧支配よりは米国の日本に対する政策の方が寛容だったことを勘案し、さらに米国勝利で終わった冷戦において日本が結果的に「勝ち組」に乗ったことを思えば、日本の政治家の選択は概ね正しかったのではないかと思った。また、日本が米国にとって魅力的な市場であることは経済面のみならず政治面でも重要であると思った。
日本戦後史の核心に迫る驚くべき書
この本の初版は1996年。サブタイトルに(ウォール街が戦後を演出した)とついていたが、文庫化にあたり一部訂正がされている。ハリーカーンという謎のアメリカ人が日本の戦後を操っていたという話は、立花隆の巨悪対言論に詳しいが、その内容を裏図ける内容になっている。 この本を、面白いか面白くないかといわれれば、間違いなく面白い。顔写真や参考文献も豊富なので内容をより、立体的に楽しめます。
講談社
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